ロイだって、昔はこんなふうじゃなかったはずだ。
アレンが笑うことも忘れて必死に取り組んだ訓練と、先輩や回りの男性隊員たちについていくのに必死だった研修期間が終わった頃、気付けば、ロイの回りには常に“女の子”がいたのだ。
可愛らしい笑顔で、女らしい仕草で、乱暴な話し方なんて一切しない――レベッカのような、女の子が。
(……女々しいやつ)
ロイがレベッカを想っていたことくらいは、“そういうこと”に鈍感なアレンだって気付いていた。
絶対に怪我をさせるなといつもしつこいくらいに言われていたし、アレンと二人でいる時にレベッカに怪我をさせてしまったら必ず怒られ、レベッカを守ってアレンが怪我をしても怒られていた。
結局いつまでだってロイもアレンも、レベッカの死からは立ち直れていないということなのだ。
立ち直る必要なんかないとさえ、思えていた。


