レベッカ




ロイがそんなアレンに、からかうように言った。


「破壊魔として有名じゃなくてよかったね」
「な、……なんだよ、うっさいな」


「まぁたそうやってムスッとして」、と、ロイが苦笑する。

もっと笑いなよ、というのは、ロイが口癖のようにアレンに言う言葉だ。
正確には、言うようになった言葉。

昔はアレンだって、喜楽も怒も哀も、まっすぐに表現していた気がする。

レベッカが、いた頃は。
よく笑う可愛らしい大親友につられるように、どんな感情も素直に表せていた。
それができなくなった原因は、わかりきっている。


「クールでカッコいいじゃないですか、彼女さん」
「彼女? こいつが? まさか」
「違うんですかぁ?」
「ただの腐れ縁だよ。俺、もっと女の子らしい子が好きだし。君みたいな?」
「えー、ちょっと、やですよもう!」


へらりと笑って少女に可愛らしい歓声を上げさせるロイを、アレンは呆れ顔で見ていた。