痛ましそうに表情を歪めるウエイトレスに、アレンは一瞬迷ってから、薄く笑みを見せた。
「……平気、慣れてるから」
「な、慣れ……? あっ」
訝しげな顔をしたウエイトレスは、テーブルの上に無造作に置いたままににっていたトレイに気付くと、慌てて皿を置き直す。
「あの、ホントにすいませんでした……こちら、ホットケーキとコーヒー、ピラフとカフェオレになります」
「あ、領収書切ってもらえる? ピースフォースで」
「え?」
ウエイトレスの目線が、もう一度、ほんの一瞬だけ、アレンの包帯に向けられた。
言われた通りに領収書を書きながら、彼女はおずおずと口を開く。
「あ、あのぉ……彼女さんも、もしかして、マシンガ……ピースフォースの隊員の方で」
「まーね」
「わぁ! すごーい、かっこいい!」
少女のようなはしゃいだ反応に、どう返していいのかわからなくて、アレンはカフェオレのカップを手に取る。
だが猫舌のアレンにはまだ熱くて、火傷しそうになった舌を、慌てて引っ込めた。


