「おい、おい!! このババアがどうなってもいいのか!! ぶっ殺すぞオイ!!」


腕を高く振り上げる。
その肘にもまた弾丸が掠めていったが、血が昇った男の頭は、それで冷やされることなどない。
そして、降り降ろした。


「あああぁぁぁああぁぁぁ!!」


甲高い悲鳴。
ナイフは女性の二の腕を少し切り裂いただけだったが、目を瞑っていたために予期していなかった痛みに、彼女は絶叫した。

その時一瞬だけ、弾丸が止む。
男の開いた瞳孔に、アーミーの女が初めて口を開く姿が映った。


「……傷害の現行犯も追加だな。おめでと、本気で相手してあげる」


彼らの腕が、銃身に、ナイフに、肉食獣の爪に変化していく。
口は軽く、罪の裁きは重く。


「じゃじゃ馬なんて」
「カワイイもんじゃないよなー」
「な」


「――機関銃だよ」





数分の後、まともに息のあって動く者の誰もいなくなった行き止まりの小路には、片耳と片手首をなくし、膝と鼻を潰された男だけが、ごろりと転がっていた。

そして、突き当たりの壁には、『MY』――マシンガンヤードのサイン。