レベッカ





実際、もう指二本分左にずれていたら、だとか、もしもう少し口径の大きい種類だったら、だとか、命がなかった場合の話は飽きるほど聞かされたのだ。

アレンに対する警告の意味もあるが、恐らくはだいたいが事実だろう。

ロイはアレンの膨れっ面に小さく笑ってから、真面目な顔をして、言った。


「それでその、煙幕弾を投げた隊員は」


アレンの怪我の原因は、間接的とはいえ、指示を聞かなかったその隊員にあると言える。
だが、アレンはやはり、首を横に振った。


「誰か、変な動きした奴見なかったの? ニラたちはなんて?」
「あたしと一緒に先頭にいたから。でももしかしたら、向こうの……マルクの隊の奴かも」
「まじかよ……いい加減隠す気もないってか」


アレンが言うと、ロイは思いきり顔を歪めて、溜め息を吐いた。