レベッカ





油断していたわけではないが、不意打ちの深い傷は、体力も能力もアレンから削った。
動きが鈍っているところへ、脇腹にピストルが突き付けられたのだ。

「動くと撃つ」――では動かなければ、どうするつもりだったのだろうか。

それはわからないが、結論からいえば、アレンは、動いた。


背後を仰ぎ見た。
相手の後ろは壁だと、一瞬で判断する。
撃たれることもいとわず、体を捻った。

脇腹に激痛が走る。

だが、弾丸が貫通したそこから血が吹き出す頃には、相手の方が先に、腹を穴だらけにされて倒れ伏していた。


「ホント馬鹿だよね。そこで撃つ、普通」
「しょうがないだろ。じゃあどうすればよかったの」
「とりあえず言うこと聞いて、油断を誘う。あんたの顔なら、ちょっと泣けば一瞬怯ませるくらいは」
「できるかそんなこと。別に、ピストルのアーミーだったんだから、よかったじゃん。大型だったら真っ二つになってたかもな」
「ちょっと、嫌なこと言わないでくれない? 食事前だっつうのに」
「冗談じゃねーの、真面目な話なのー」

アレンは、むすっと唇を尖らせる。