「それにしても、その脇の傷。それ、かなり至近距離から撃たれたんでしょ」
「……そんなことまで聞いたのか?」
「いや。傷口、火傷してたから」
そういえば昨日包帯を変える時に、なぜか当然のようにロイも医務室にいたのだと、思い出した。
アレンが怪我をした時はいつものことで、今更医者や看護隊員たちも、戸惑ったりもしない。
肩や脇腹に巻いた包帯を交換するのだから、当然下着姿になるのだが。
さすがに太股の切り傷の処置は、あとで自分でやると医者に言った。
(そういえば前は、怪我する度に、ロイが傷見て、レベッカが手当てしてくれたっけ)
脚の傷は、背中を斬り付けられて振り返ったところに、続けざまに薙ぐようにナイフを振るわれた時のものだ。
間合いを取るのが間に合わず、両足をざっくりとやられてしまった。
ロイが不参加の作戦で、しかも普段あまり関わったことのない隊との合同の仕事だった。
自分が隊をまとめなければ、という気負いで、自衛が疎かになっていたところもある。


