――ドンドンドンドンッ
「先生!! エド先生っ!!」
激しく扉を叩く音と、叫ぶような呼び声。
それが、自分がボランティアで教えている町外れの悪ガキのものだとわかると、エドは寛いでいたソファから立ち上がった。
「ガキ共!! 静かにしろ!!」
「うるせぇ!! 緊急なんだよクソオヤジ!!」
隣の家の中年と怒鳴り合う声も聞こえる。
エドは、扉を開けた。
「どうしたんだ、お前たち」
「先生っ……、」
肩で息をする二人に目を丸くする。
だがすぐに、いつも見る顔より一つ少ないことに気付いて、言った。
「何事なんだ。レベッカは? さっきちらっと会ったが」
「まじ!? いつ!?」
「こら、話し方に注意しろと」
「帰ったの!?」
ここまで普段の様子と違えば、どうやらこれはただ事じゃないと、エドも気付いた。
悪戯を仕掛ける時の、芝居がかった感じもない。
「八時過ぎだったか……これから帰るところだと」
そう言った瞬間に、二人の顔がさぁっと青ざめた。
いよいよなにかおかしい。