甲高い金属音。
何と何がぶつかった音なのかは、わからない。
大男の拳をまともに受けたアレンは、立ち上がろうとしてふらついた。
ロイの叫び声が聞こえた。
「っら゙ああああああぁ!!」
がつん、という打撃音のあとに、大男の体が崩れ落ちる。
前につんのめってきて、アレンは慌てて横に転がり、跳ね起きた。
ロイが、手摺を一階分上によじ登って、大男に後ろから殴りかかったのだ。
右腕がライフルに変化している。
「撃たなきゃいいってか。ずりー」
「んなこと行ってる場合かよ、飛べ!!」
ロイに手を引かれ、アレンは何も考えずに、言われるがまま、躊躇なく飛び出した。
駆け降りるより直線の方が速い。
二人は、高さにして五メートル以上はある階段から、飛び降りた。
着地し、体勢を立て直す暇もなく、走り出す。
次の瞬間には、大男も同じように、飛び降りて来ていたのだ。


