「お゙お゙ぉぉぉい!!」
雄叫びのような、大男の声。
あいつ人語話せないんじゃねぇの、といつだったかロイが馬鹿にしていた。
その咆哮に追われて、転がるように階段を駆け降りる。
十六階分の階段だ。
脚がもつれそうになって、気合いでなんとか立て直し、必死で走る。
十五階。十二階。八階。
五階、もう少し頑張れば、地面――そう思った瞬間だった。
アレンの小さな体が、吹き飛んだ。
ロイは受け止めきれずに、二人で転がり落ちる。
「ってぇ……っ」
「っアレン!」
ロイの声に、アレンは顔を上げた。
目の前には、大きな拳が迫っていた。
カアァァァァンッ――


