レベッカ





かん、かん、かん、という、高い靴音。


「……屋上の見回りの時間……!?」
「クソ、ついてねぇ……! なんで今日こんな早いんだよ!?」
「エレベーターに乗ってたの、あいつだったんだ」
「あの出不精がっ、サボってんじゃねぇよ……っ!!」


慌てて給水塔の影に身を隠す。
非常階段からは、大男のつるりと剃られた頭が現れた。

ロイが、小声で耳打ちする。


「あいつが階段から離れたら走るよ。……撃つなよ」
「わかってるって。“ルール”だもんな」


盗みの時は、アーマーの能力は使わない。
それはロイとアレンがレベッカと交わした約束で、強力すぎるライフルとマシンガンの能力を、彼女が心配してのものだった。

大男が、さっきまで二人がいた手摺の方へ回る。
今だ、と耳元で囁く声が聞こえて、二人は勢いよく飛び出した。