「最近ますます保護者染みてるな、ロイは」
「僕はアレンに付き合うのも嫌いじゃないですけどねぇ。予想もしない動きが多くて、面白いですし」
「え、そうなのか? 俺は……ちょっと」
「またやってるのか、あの二人は」


と、後ろからひょっこりと顔を出した上司に、二人は姿勢を正した。


「エドさん、おつかれさまです」
「君たちこそ。朝から一件片付けてきたんだろう? 大変だったな」


今朝の出動についての会話を二、三交わして、未だぎゃあぎゃあと程度の低い言い合いをしている二人に目をやる。

つられて見た二人が、エドに視線を戻した時、彼は、穏やかに目を細めていた。


「まったくあの二人は……いつまで経っても」


昔を懐かしんでいるようで、少し嬉しそうですらある。
そこにほんの少しだけ滲む淋しげな色の正体は、ロイとアレンしか知らない。


「こら、アレン。報告はどうした」
「うわ、エドさん! すいません、ロイのやつうるさくって」
「教育的指導ですよ。司令塔ですから?」
「お前な、」


また始まりそうになった口論を、エドが諌める。
アレンは提出するだけになっていた報告書を出して、ロイが口を挟もうとするのを、キュウが止めて。
ニラは一見無表情に見えて、実は小さく苦笑いを浮かべていて。

いつも通りの光景だ。
必死でいつも通りに振る舞おうとしているのだ。