「見てくれ、わかるだろう!? こいつら、仲間や私たちを殺して、ピースフォースを乗っ取るつもりなんだよ!」
「てめぇ、ふざけたことばっか言ってんじゃねぇぞ!」
アレンが、マルクの耳障りな声に苛立って、怒鳴る。
しかしマルクはそれさえ逆手に取って、なおも喚き立てた。
「聞いたか、今の声を!? 今襲われてるのは私たちの方だぞ!?」
「いい加減にしろよ!」
「さっき聞いたんだ! この犬たちも、こいつらがけしかけたんだよ!」
「おい!! それはてめぇだろ!!」
野犬は、人間たちの異様な雰囲気を感じ取ったのか、それともナイジェルによってなのか、吠えるのをやめていた。
唸り声がこだまする町外れに、マルクの訴えと、アレンの怒鳴り声だけが響く。
キュウは、四人それぞれを見渡しながら、困惑していた。
一体どちらの言い分を聞けばいいのか。
鋭いイタチの爪が付いた自分の手をちらりと見てから、視線を上げた。
すると、ロイと目が合う。
ロイは次に、ニラと視線を交わす。
そして、表情を消したまま、マルクを見た。
「証拠なんかいらねぇよ」
そして、なんの躊躇いもなく、ライフルの引き金を引いた。


