レベッカ




「な、」と、アレンの口から声が漏れる。

ナイジェルが押し黙ったままなことに痺れを切らしたのだ。
マルクは、とても大怪我を負っている人間とは思えないような声で、助けを呼ばわる。


「殺される!! 助けてくれ!!」


マルクの大声に、猛り狂った野犬たちの注意が、一瞬こちらに向く。
その群れの背後から人影が姿を現したのを見て、マルクは声量を増した。


「ロイとアレンだ!! こいつらグルだったんだ!!」


大声に気を取られていたその群れを二人で片付けながら、ニラとキュウは向かってくる。

その顔には明らかに、訝しげな色が混ざっていた。
状況を把握しようと、アレンたち四人の間に視線をうろつかせる。


「グル……? ピースフォースを乗っ取るって」
「ロイに撃たれた! 動けないんだ!」


撃たれた、という言葉に反応してマルクを見たキュウが、息を呑んだ。
真っ赤に染まった脚を必死で押さえながらの訴えは、確かにそれだけならば事実ではある。

だが、彼は続けた。