レベッカ




「あんた、自分の罪、また人に擦り付ける気かよ」
「罪!? とんでもない! 私は組織のためを思ってやっているんだよ。ピースフォースを、シガテラの最高権力にまで、上り詰めさせるために」


半身を起こしたマルクは、ロイが抉った壁に凭れて座ると、痛みにあえぎながらも、言った。

普段の少し芝居がかったような口調は鳴りを潜め、ロイに鼻で笑ってみせる。
人を馬鹿にしたような態度に、アレンは眉を寄せて顔を歪める。

しかしロイは、無表情で言った。


「俺たちのことも、よその国に売んのか」
「は、どうした、今になって。奴隷は嫌か? それとも、鎌をかけているつもりか」


証拠はないんだろう、証拠がなければ告発なんてできないからなぁ!

そう叫んだマルクの表情に、今までの、外側だけでも人好きのするような笑顔は、少しも残っていなかった。
目を見開いて口を大きく開けて、下品な笑い声を上げている。

そしてナイジェルの方を見て舌打ちをすると、おもむろに、大きく息を吸った。


「助けてくれ!! こいつら、ピースフォースを乗っ取る気だ!!」