常人離れした速さと、全身のばねを駆使して戦いながらの、戦闘中に。
まるで普通にテーブルについている時のように、言葉を交わしていたのだ。
それを涼しい顔で暴露する二人を、まるで化け物でも見るかのような目で、見ていた。
やがてマルクは、息の荒くなった口を開き、苦々しく声を上げる。
「……ナイジェル」
「…………」
「ナイジェル!!」
びくりと肩を震わせて、ナイジェルはマルクに振り向いた。
怯えたようにも見える目。
「武器を捨てろ」
「……え?」
「武器を捨てるんだ。それから、大声を上げろ」
何を言っているか理解しようとするような沈黙が一瞬あって、それから、ナイジェルはもう一度、「え?」と言った。
マルクは額に浮いた脂汗を拭うこともできず、苛立たしげに言う。
「状況を見ろ!」


