人身売買は、人の権利の一切を無視する行為だ。

世界的にも重罪だし、無法地帯と名高い、あらゆることがまかり通るこのシガテラでだって、絶対にあってはいけない邪道なことだとされていた。

そんな重い罪が、よりによって、シガテラの治安を守るこのMYの幹部の手回しで行われていたとは。


「……ひどすぎんだろ、そんなの」
「なんとかしないとな。この国、舐めてくれやがって」


無法地帯シガテラには、この街の法が、決まりがある。

MYにはMYの、守るべき法と、プライドがある。


例え犯罪者とはいえ、人の命を、人生を商品にして売ったうえに、その商売を守るために、パウルやハリーや、大勢の人間が犠牲になったのだ。
そんな事実を知ってしまったら、もう、許しておけるわけがなかった。



「ぶっ潰してやるよ」