アレンは脊髄反射的に、ロイの腕を振りほどいた。

弾丸のように跳ね飛びながら、落ちていた棍棒を拾い上げて、振りかぶりながら体の回転を乗せる。

そのまま勢い任せに、全身全力で、ハリーの頭めがけて振り抜いた。

ばき、と鈍い音がする。
何がどうなった音かは、少しも気にしなかった。

倒れ伏してひくひくと痙攣するハリーを見下ろして、アレンは再び舌打ちを鳴らした。
そして溜め息を吐いて、振り返る。

ニラやキュウやナイジェルは、呆然としたまま、アレンから、ロイに目を移した。


ロイの背中が、赤く染まっていた。

アレンは、「……あ、」ようやく、事態を理解した。


「………………ロ、」



そして、思い出したように、絶叫を上げた。