「あぁ……パウルがマルク派っていう噂、あれ、嘘だったみたい」
「いや、実はな……俺たち、ここへ来る途中で、見つけたんだ。路地裏に、パウルが撃たれて倒れてるのを」
ロイは思わず、身を乗り出す。
「ほんとに!? 無事なの」
「……」
だが、ニラは何も答えずに、ただ目を伏せた。
その動作が意味するところは、ただ一つだけだ。
「そんな……嘘だろ」
「ハリーの仕業だったんだな。きっとお前やアレンも……俺たちのことも、始末するつもりだったんだろ」
パウルとロイは、追っていた犯人からの反撃に倒れた、とでも言うつもりだったのだろう。
「俺らのことはどうするつもりだったんだろうね?」
「さぁ……パウルとロイがやられたので援護に呼んだ、とでも報告する気だったんじゃないですか」
「どうせ目撃者は全員マルク派だしな、どうとでもなる」


