顔を上げると、ニラと視線が合う。
やれやれ、というように小さく笑うキュウと、にやにやと二人を眺めるナイジェルと。
「ロイ、怪我はどうなんです?」
「たいしたことないよ」
「あーあ、愛されてるね」
茶化すナイジェルに「まーね」とおどけて返すと、涙に濡れた顔を上げたアレンに物凄い形相で睨まれて、肩をどすりと小突かれた。
思わず声もなく体を折ると、アレンは慌てて、キュウは「どこがたいしたことないんですか」と声を上げる。
「ところで、こいつら」
少し落ち着いたタイミングを見計らって、ニラが辺りを見回しながら言う。
鉄板貼りの床には、十五人あまりの隊員がアレンによって転がされていた。
いや、元隊員と言った方がいいだろうか。
こうなってしまってはもう、MYに置いておけるはずもない人間たちだ。


