「……ありがと」
なんと言おうか逡巡して、結局、ロイはそう言った。
すると途端に、アレンの無表情が崩れ去る。
「なにやってんだよ、お前」
憮然とした表情は、明らかにロイを責めていた。
言い訳を諦めて、へらりと笑顔を浮かべる。
「なに、やってん……だろうね」
「笑ってんじゃねぇよ」
「笑うしかないじゃん」
「なに黙って捕まってんの?」
「いや、それは不可抗力で」
アレンの口許が少しずつ歪んでいっていることに気付いて、ロイは口をつぐんだ。
鼻が赤い。
ぎゅっと寄せた眉が、震えている。
ロイを睨みつける目尻が、みるみるうちに潤んでいった。
「、アレン」
「……ふざけんな」
ぶつり、と音を立てて、最後の縄が切れ落ちる。
「ふざけんなよ……っ」


