「ちょっと、先走んないでよー」
その時、開け放したままになっていた扉から、ナイジェルが姿を現した。
背後には、ニラやキュウたちもいる。
「なんだ、もう終わってるんじゃないですか」
「二人とも、大丈夫……そうだな、少なくともアレンは」
「うわ、ロイ、ぼっこぼこ」
痛そー、と情けない声を上げるナイジェルたちの言葉にも振り返らずに、アレンはロイに近寄った。
近くに落ちていたナイフで、体を拘束していた縄を、黙々と切っていく。
近距離でのその沈黙に耐えきれず、ロイは口を開いた。
「あ……の、アレン」
「……なに」
「いや、えっと……」
来てくれると思ってた。
そんな言葉は、気恥ずかしい。
来てくれて良かった。
それではなんだか、アレンたちを信用しきっていないみたいだ。
助かった。
それもなんとなく違う気がする。


