アレンの鋭い視線に、ハリーは辺りを見回す。
そして、自分とアレン以外、誰も立っている者がいないことに気付いた。
いつのまに、と、口だけが動くのが、ロイにも見える。
アレンはハリーを睨み付けたままで、口を開いた。
「最低だな、お前」
感情の読めない声。
それがハリーの耳に届いた、その次の瞬間には、彼の体は、不自然な衝撃を受けて宙に浮いていた。
全身がばねになったような、速さと勢いの乗ったアレンの回し蹴りが、横っ面に思いきり入ったのだ。
ハリーは意識を失って、冷たい床に横たわる。
アレンはそれを、絶対零度の眼差しで眺めていた。


