レベッカ




と、その時だった。


「、おい……っ!」


ハリーが、その瞬間を待っていたかのように腕を上げたのだ。

地上戦では、アレンに銃弾を命中させることなんて、不可能と言っていい。
弾数は限られているのだ。

ハリーのライフルならば彼の体力が続く限り撃てるが、ここはアレンのマシンガンを封じるために選んだ、壁も床も鉄板貼りの工場だ。
ライフルなんて撃てば、どこでどう跳ね返って、誰に当たるか、わかったものではない。

とはいえ、跳弾の条件はライフルでも拳銃でも同じで、違うのは威力と、万が一味方に当たった場合の被害のほどだけである。
狙いを定めることも跳弾の方向を予測することも難しい、こんな状況でハリーが拳銃を構えるということはつまり、“例え味方に命中したとしても構わない”という考えを意味していた。

彼は、マルク派として募ったここにいる十数人を、ただの捨て駒としてしか見ていないのだ。