比較的反応素早くナイフを振り上げた隊員と、アレンの目が合う。 「こ……っの、!」 しかし次の瞬間には、腹に受けた破壊的な衝撃に、昏倒していた。 アレンの横っ腹を、ナイフが掠る。 それを避けざまに脚を振り上げて顎を蹴り上げ、さらに胸ぐらを掴んで鉄の床に叩きつけた。 そうしてようやく、アレンは止まった。 体を起こし、顔を上げて、回りを見渡す。 ギロリ、と音が聞こえそうなほど力強い視線に、ロイですら怯んだ。 「そいつ、返せよ」