「わかってますよ、アレン。ロイが心配なんでしょう」
「……ごめん……」
「アレン。……責任は持てるな」
真剣な低い声に、顔を上げた。
どういう意味かと尋ねる前に、ニラが言葉を続ける。
「怪我が悪化しても知らないぞ」
短くそう言って踵を返したニラを、ナイジェルが「もー、アレンには甘いんだからなぁ」と言いながら追いかける。
ニラの「大丈夫だ」は、気にしていないから大丈夫だ、ではなく、アレンの気持ちはわかっているから大丈夫だ、という意味だった。
彼らだって、アレンとは七年来の仲間なのだ。
ロイとアレンがどんな関係なのか、言葉には出来なくてもとにかく大事な存在なのだと、ちゃんとわかっていた。
こんなフォローのされ方は、どれだけ自分を理解してくれているか、それをわかっていなかったアレンの落ち度だ。
アレンは、ごめん、ともう一度口の中で呟いて、その次は声に出して、言った。
「ありがと」