レベッカ




「今日はやけに出動要請が多くて、僕らの隊以外はみんな出払ってるんですよ」
「じゃあどこの隊かもわかんないじゃん。アレン、それは聞いてないの?」
「あ、うん、聞いた」


そう答えたアレンに、ニラが一瞬口を開いて、何か言いたげな様子を見せた。


「え? なに、ニラ」
「いや……どこの隊だ?」
「パウルんとこ」
「パウルって……マルク派の筆頭じゃん!」
「……アレン、あの」


キュウが、声を落として小声で囁く。


「噂は知ってます、よね。ロイが向こうの方に誘われてるっていう……」
「知ってる、けど……え?」
「ロイ、なにかあったんじゃ」


まさか、と、誰ともなく呟く。

確かに、ロイが味方に付けば、マルク派は一気に力をつけることになるだろう。
逆に、ロイに“エド派につく”とはっきり示されることだけは、避けたいはずだ。

だからといって、例え焦っているとして、そんなふうに直接攻撃に出るなんてことが、今の状況であるのだろうか。