「松葉杖は」
「そろそろ使わなくても平気かと思って、試しに歩いてみてんの」
「えっと……医務室?」
「うん。来んの?」
「あぁ……いや、これから出動なんだ」
「え?」
苦い顔のロイに、アレンはぱちりと瞬きをする。
ロイは、目をきちんと合わさないまま、言った。
「人手が足りないって、他の隊の出動に駆り出されることになって」
「え……ロイ、それって」
「うん」
眉を寄せたアレンに対して、口には何も出さずに、ただ頷く。
具体的な単語は何一つ出ては来なかったが、不安げな表情をしたアレンにロイが頷いたということは、答えは一つしかなかった。
ロイに手を貸してほしいと言ってきたのは、マルク派の一隊なのだ。