ふと、顔を近付ける。 アレンはふいと顔を上げて、無防備に目を丸くして、ロイを見ていた。 ――俺、いつからこいつのこと好きなんだっけ。 そんなんいつからでもいいか。 結い損ねて余った、風に弄ばれる髪を、耳にかける。 そのまま手のひらで頬を覆う。 目を合わせたまま、顔を傾ける。 (あーあ、アホ面かわいー) 目も閉じないままで唇が触れて、離れて数秒、何も言葉はなかった。 アレンが、目を丸くしたままの顔で、ぱちりと瞬きをする。 それを見てロイは、訝しげに呟いた。