レベッカ





ふと、ロイが「あ」と声を上げる。
つい顔を上げてしまったが、ロイはどこか別の場所を見ていた。

が、すぐにアレンに視線を戻す。


「なに?」
「や、なんでもない。傷、どう?」
「どうって……この間見たじゃん」
「ちょっと腫れてたけど、引いた?」
「引いた」
「ふーん……痕、残っちゃうかもね」


さらりと触れられた肩が跳ねそうになって、必死で抑えた。
だがそれが、ロイを意識しているということをはっきり突き付けられているような気がして、混乱する。


違う、これはきっと、アレンの髪が長いせいだ。
アレンの背が、昔より少し伸びたせいだ。

ロイは、アレンにレベッカを重ねているだけなのだ。

そう、なんとか自分に言い聞かせているということでまた、意識していることを思い知らされる。
頬まで赤くなってきそうで、顔を背けた。