開け放された窓から入り込む、緩やかな風。
真っ青な空と、ちち、と鳴きながら飛ぶ小鳥を見て、誰ともなく微笑む。

ピースフォース本部は、その正式名称にふさわしい陽気と、ほのぼのとした空気に包まれていた。
しかしその穏やかな日常を、容赦なくぶち壊す、轟音が響く。

――バアァァァアン、という派手な打撃音は、屋上へ出るドアが立てたものだった。

続いて、階段を騒がしく降りる重そうな靴音と、勢いのある口論。


「器物破損だって犯罪だって何回言ったらわかんだよ単細胞! てゆうかやりすぎ、アーミーだって弾は無尽蔵じゃねーのお前の燃料(メシ)とメンテ代はどっから出てると思ってんだよ!」


そう捲し立てるひょろりと背の高い青年は、MYのブレーン、ロイ。


「いちいちうっせぇんだよ偉っそーに! お前は狙撃(ライフル)だから一発一発ちまちま撃ってるかもしんないけど、あたしは連射(マシンガン)なの、撃ちまくってなんぼなんだよ!」


綺麗な髪を揺らしてロイに食ってかかっているのは、女だてらに特攻隊長と名高い、アレンだ。