――レベッカが殺されたのは、ロイのせいだ。
ロイが、あの地図に隠された意味に、もっと早く気付いていたら。
見かけた旅人の後を追おうと言うアレンを止めたのも、そうだ。
倒れたアレンを庇って片腕でライフルを構えた時も、ロイだってやはり、撃てなかった。
怖かったのだ。
人間を撃ったことなんて、それまで一度もなかった。
アレンを守るということを言い訳にして、結局、危険なことからは全て逃げていたのだ。
少なくとも、ロイはそう思っている――が、アレンはきっと自分自身を責めているのだということも、ロイはわかっていた。
アレンが今でもロイと一緒にいるのは、三人でいることが好きだった、レベッカへの義理立てだろう。
昔から、レベッカが悲しむことだけはせずにきたのだ。
彼女が未だに、屋上に上って空を見上げて、誰の名前を呼んでいるのか、知っている。
それら全てをわかった上で、その上でアレンから離れようとしない自分が、浅ましくて、卑怯で、狡く思えて仕方がない。
だが、離れることもできないのだ。


