レベッカ





屋上への扉を開くと、小さな背中が見えた。
音は聞こえたはずなのに、振り返りはしない。


アレンに避けられていると気付いたのは、一週間ほど前のことだ。

あからさまに逃げられているわけではないが、何か怒らせるようなことでもしたかと考えてしまうほど、素っ気ない。

だが、その理由がわからない。
心当たりが多すぎるとも言えるが、どれを取っても今さらで、ここ最近避けられている原因とは思えないのだ。

それでもこうして、屋上へ上がることはやめない。
レベッカと三人でいた頃は、よくこうして高いところに上がって、飽きることもなく話していた。


フェンスに置いた腕に、いつのものかわからない、傷跡。
剥き出しの細い肩の包帯は、まだ外れていない。

レベッカが見たら、きっと眉をしかめて、アレンを妹みたいに抱き寄せるのだ。
自分が二人にしていたのとは違う、無条件の優しさで。