レベッカ





「アレン、知らない?」
「また? ロイ、ほんと過保護だな」


通りかかったナイジェルに聞くと、彼はそう言って笑った。
最近のロイの口癖のようなものだ。

一緒にいたキュウも、苦笑いを浮かべる。


「そんなに心配なら、首輪でも着けておいてくださいよ」
「やだ、キュウってばマニアックぅ」
「そういう意味じゃありませんよ、バカですね」


呆れたように言うキュウに、ナイジェルが笑う。
暴れる犯罪者と対峙した時は強力な戦力になる鋭い牙も、こうしていれば、彼の少年のような印象を引き立てている。


「でもアレンなら、この辺だと思うよ? ね、キュウ」
「そうですねぇ。さっき通ったばかりみたいです」
「そっか。また屋上かな、行ってみるわ」


ナイジェルが鼻を引くつかせて言うと、キュウも頷いた。
鼻の利くビースティーであるこの二人が揃って言うなら、まず間違いないだろう。
屋上へ続く階段は、すぐそこの角を曲がったところだ。