「うちの食堂にもこんなかわいいウエイトレスさんがいたらいいのに」
「ほんとですかー? 雇ってくれます?」
アレンは、空になった皿にスプーンを置くと、冷めたカフェオレのカップを手に取った。
ちょうど良い熱さに冷めてきている。
ふう、と溜め息を吐いたアレンの方を見て、ロイは目を丸くした。
「え、もう食べたの?」
「うん」
「あ、ごめんなさい、食べるの邪魔しちゃって」
ロイのホットケーキがまだ半分も食べられていないのを見て、ウエイトレスが言う。
だがロイは、にこりと笑って言った。
アレンには、絶対に向けない種類の笑顔だ。
「いや、楽しかったよ? また来ようかな」
「ほんと? お待ちしてます!」
ウエイトレスは満面の営業スマイルを見せると、声を上げた他の客のところへ向かった。
ロイが大きく口を開けて、一口で残りのホットケーキの三分の一ほども頬張る。
アレンは、カップの中身を見つめて、呟いた。
「……ごちそーさん」
そして、空のカップを置く。
松葉杖を手に、ぎこちなく力の入らない脚で立ち上がるアレンに、少し慌てたようにロイが言った。


