「月夜様、この大陸を実質支配するんが、東のナーガ、西のバロン、北のグィシュア、そして南のガルナなんは承知してますな」
「神を始祖とする四種族だ」
「せや、四神の国とも呼ばれとります。それら建国正史はほぼ同時期に残されたものを、正確に写し取られた……と、月夜様は思とりますか?」
「…どういう意味だ。国の歴史に偽りがあるとでも?」
「偽り…とは、微妙にちゃいますけど。つまり、解釈の違い…ちゅうやつですやろな」
月夜は気色ばんで答えた。
「わが月読寮は優秀な者だけが碑文の解読に携われる! 間違いなどあるわけが…っ」
――本当にそうだろうか?
碑文に記された魔物の解釈。確かに間違いではなかったが、それだけでもなかった。
月夜は雪の姿を思い浮かべていた。
身体中に刻まれた黒と赤の紋様。
強靭な肉体と背中に生えた、翼のような鋭い角。
見る者によっては恐ろしくもあろうが、月夜にはそれが、とても醜悪には見えなかったのだ。
それどころか…。
「千季(年)もあれば、言葉の意味も捉え方も変わってきます。いくら宮かて、ないとは云いきれへん…でしょ?」
「そのような……」
しかしそれ以上は強く否定できなかった。
イシャナの云うことはもっともにきこえる。
「だ、だからといって、なにが違うというのだ? 四神の国は、それぞれに四人の神がお作りになった。はじまりは同じと記されている。ナーガの民の一人に過ぎないお前が、なにを知っているというのだ?」
「……国のはじまりは、一人の神が降り立った聖地からおこった。神は人間の一人を迎え入れ、始祖となる人間をつくった。神の力を受け継いだ人間は、神と同じように一人の人間を迎え入れ、10の王をつくり万の民をつくった。神が還った後も、始祖は国を守る神となり、いまもこの聖なる地で眠っている」
「神を始祖とする四種族だ」
「せや、四神の国とも呼ばれとります。それら建国正史はほぼ同時期に残されたものを、正確に写し取られた……と、月夜様は思とりますか?」
「…どういう意味だ。国の歴史に偽りがあるとでも?」
「偽り…とは、微妙にちゃいますけど。つまり、解釈の違い…ちゅうやつですやろな」
月夜は気色ばんで答えた。
「わが月読寮は優秀な者だけが碑文の解読に携われる! 間違いなどあるわけが…っ」
――本当にそうだろうか?
碑文に記された魔物の解釈。確かに間違いではなかったが、それだけでもなかった。
月夜は雪の姿を思い浮かべていた。
身体中に刻まれた黒と赤の紋様。
強靭な肉体と背中に生えた、翼のような鋭い角。
見る者によっては恐ろしくもあろうが、月夜にはそれが、とても醜悪には見えなかったのだ。
それどころか…。
「千季(年)もあれば、言葉の意味も捉え方も変わってきます。いくら宮かて、ないとは云いきれへん…でしょ?」
「そのような……」
しかしそれ以上は強く否定できなかった。
イシャナの云うことはもっともにきこえる。
「だ、だからといって、なにが違うというのだ? 四神の国は、それぞれに四人の神がお作りになった。はじまりは同じと記されている。ナーガの民の一人に過ぎないお前が、なにを知っているというのだ?」
「……国のはじまりは、一人の神が降り立った聖地からおこった。神は人間の一人を迎え入れ、始祖となる人間をつくった。神の力を受け継いだ人間は、神と同じように一人の人間を迎え入れ、10の王をつくり万の民をつくった。神が還った後も、始祖は国を守る神となり、いまもこの聖なる地で眠っている」

