ひとつ跳躍しただけで、あっという間に境界線へ近づいた月夜は、神山の中へ消えていく影を見つける。
迷いはしたが、刹那に月夜はすべてを覚悟した。
「行くぞ! あれを追う!」
阿修羅は雄叫びをあげて境界線を高く飛び越えた。
同時に、月夜の身体に衝撃が走る。
奇妙なくらいに懐古的な感覚に全身を包まれた。
それだけではない。強い圧迫感が大波のように押し迫ってくる。
あまりのことに、息が止まりそうになった。
それでも必死に阿修羅にすがりながら、月夜はようやく神山を目の当たりにした。
それは、普通の人間が脚を踏み越えれば、血に飢えた魔物たちが襲いかかると云われた恐ろしい場所――。
「なんだ…これは」
月夜は確かに霊山から続く道を通ってきたはずだった。
しかし、その景色は思っていたような山のそれとは違っていた。
「なんて……美しい……」
月夜は大きく見開いた目を輝かせた。
どこまでも続く広大な土地、何本もの巨大な岩の柱が天まで伸びて地を支えている。
彼方には煌めく七色の海が広がり、天にも七色のさざ波が揺れた。
まるで幻の世界にでも迷い込んだような風景だ。
いや、ここは幻想の世界…神の国なのか?
月夜は、阿修羅の背中でしばし景色に心奪われていた。
「うぎゃう…!」
突然、阿修羅が警戒の声をあげる。
月夜はギクリと身体をこわばらせた。
――しまった…!
月夜は唇の裏をかんだ。
呆けている間に、敵がすぐ傍まで来ていることを見逃した。
「……っ……」
しかしこうなることは覚悟の上でここまで来たのだ。
月夜は懐から、式を呼び出すための薄紙をつかみ出した。
「叉邏朱!」
迷いはしたが、刹那に月夜はすべてを覚悟した。
「行くぞ! あれを追う!」
阿修羅は雄叫びをあげて境界線を高く飛び越えた。
同時に、月夜の身体に衝撃が走る。
奇妙なくらいに懐古的な感覚に全身を包まれた。
それだけではない。強い圧迫感が大波のように押し迫ってくる。
あまりのことに、息が止まりそうになった。
それでも必死に阿修羅にすがりながら、月夜はようやく神山を目の当たりにした。
それは、普通の人間が脚を踏み越えれば、血に飢えた魔物たちが襲いかかると云われた恐ろしい場所――。
「なんだ…これは」
月夜は確かに霊山から続く道を通ってきたはずだった。
しかし、その景色は思っていたような山のそれとは違っていた。
「なんて……美しい……」
月夜は大きく見開いた目を輝かせた。
どこまでも続く広大な土地、何本もの巨大な岩の柱が天まで伸びて地を支えている。
彼方には煌めく七色の海が広がり、天にも七色のさざ波が揺れた。
まるで幻の世界にでも迷い込んだような風景だ。
いや、ここは幻想の世界…神の国なのか?
月夜は、阿修羅の背中でしばし景色に心奪われていた。
「うぎゃう…!」
突然、阿修羅が警戒の声をあげる。
月夜はギクリと身体をこわばらせた。
――しまった…!
月夜は唇の裏をかんだ。
呆けている間に、敵がすぐ傍まで来ていることを見逃した。
「……っ……」
しかしこうなることは覚悟の上でここまで来たのだ。
月夜は懐から、式を呼び出すための薄紙をつかみ出した。
「叉邏朱!」

