雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜

 その不思議な表情に、どこか見覚えがあるのを思い出した。

『俺は……月夜様とおりたかったのにっ』

 自分が本当は何を望んでいるのか、その声に教えられる。
 暖かな陽射しに芽吹くように、ひとつの感情が全身へと根をはるのを感じた。
 月夜は肉体を脱ぎ捨てると、躊躇なく雪の中に飛び込んだ。
 魂だけになった二人の姿が重なりあう。
 しだいに輪郭を失い、溶け合いながらひとつになる。
 言葉にならないほどの昂揚がめぐった。
 熱くたぎる想いが、雪の中に、月夜の中に拡散していく。

――離したくない…この手を。

 どちらの感情なのかもわからない、けれど混じりあうふたつの感情が、ふたりが抱いていた想いが、ずっとひとつのものだったと月夜は知った。

「貴方が……欲しい」

 ようやく口にできた本意に、熱く溜め息を吐いた。

「もとよりお前のものだ。俺のいるべき場所は……お前だ、月」

 律動する魂の流れが、一層激しくめぐる。
 光輝く一本の柱となった身体から、光の欠片がほとばしる。
 それは渦を巻き、霊山から天空を裂いて立ち昇った。

 その後、光の柱をめぐって、国家間でさまざまな憶測が飛び交う。
 天変地異の前触れ、神の啓示、ガルナの宣戦布告――。
 とかく冗談じみた憶測まであったが、結果それらはガルナに有利に働いたという。

「これで阿修羅はボクのもの……」

 ん?















 end