「阿修羅、いけ!」
躊躇せず飛びかかってくる獣から、雪はひらりと身をかわし、すぐさま方向を定めて跳ぶ。
彼の瞳が月夜の姿を捉えた。
「従うべき者が無防備では、話にならんな。それともこれは据え膳か?」
――かかった!
「左に敖広、右に白、前に朱雀、後に玄天上、東西南北前後扶翼、急急如律令!」
月夜の呪が発動する。
それは以前のような、ただの守護法術ではない。
四神の王の魂を強制的に召喚し、神に対抗できるだけの防御陣を敷く、強力な結界。
それにかかれば、いかな魔物の王といえど無傷では済むまい。
月夜は己が優勢を確信した。
結界が威力を発揮した余波は、大地を揺るがし大量の土埃が天にまで届いた。
神山にまで及んだ震動で、翼を持つ者たちが一斉に飛び立っていく。
まるく結界の中心にいた月夜だけが、何事もなかったかのように立ち尽くしていた。
「……やった……のか?」
予想以上の出来に、しばし唖然とする。
自分のまわりがきれいに片付いてしまい、その反動が甚大であることに再度唖然とした。
「あ……阿修羅……雪!」
ふたりの姿も見えなかった。
まさか、このくらいで吹き飛んでしまうとは思えない。
しかし沸き上がった不安は打ち消せなかった。
「雪…阿修羅…どこだ?」
浮かんでくる嫌な想像を振り払いながら、恐る恐る彼らの抜け殻がないことを確かめ歩いた。
気配すら感じることが出来ず、不安はますます加速する。
――どうして、どうしたら……こんな弱い心を捨てられる?
何かを恐れて何も見えなくなる。
見失って大切なことまで忘れてしまう。
「強くなりたい……でもそれは……」
躊躇せず飛びかかってくる獣から、雪はひらりと身をかわし、すぐさま方向を定めて跳ぶ。
彼の瞳が月夜の姿を捉えた。
「従うべき者が無防備では、話にならんな。それともこれは据え膳か?」
――かかった!
「左に敖広、右に白、前に朱雀、後に玄天上、東西南北前後扶翼、急急如律令!」
月夜の呪が発動する。
それは以前のような、ただの守護法術ではない。
四神の王の魂を強制的に召喚し、神に対抗できるだけの防御陣を敷く、強力な結界。
それにかかれば、いかな魔物の王といえど無傷では済むまい。
月夜は己が優勢を確信した。
結界が威力を発揮した余波は、大地を揺るがし大量の土埃が天にまで届いた。
神山にまで及んだ震動で、翼を持つ者たちが一斉に飛び立っていく。
まるく結界の中心にいた月夜だけが、何事もなかったかのように立ち尽くしていた。
「……やった……のか?」
予想以上の出来に、しばし唖然とする。
自分のまわりがきれいに片付いてしまい、その反動が甚大であることに再度唖然とした。
「あ……阿修羅……雪!」
ふたりの姿も見えなかった。
まさか、このくらいで吹き飛んでしまうとは思えない。
しかし沸き上がった不安は打ち消せなかった。
「雪…阿修羅…どこだ?」
浮かんでくる嫌な想像を振り払いながら、恐る恐る彼らの抜け殻がないことを確かめ歩いた。
気配すら感じることが出来ず、不安はますます加速する。
――どうして、どうしたら……こんな弱い心を捨てられる?
何かを恐れて何も見えなくなる。
見失って大切なことまで忘れてしまう。
「強くなりたい……でもそれは……」

