「初々しいの、あの童子は。まるでお前の式にでもなったかのようじゃ」
突然背後に現れた人物に、月夜はギクリと背筋を戦慄かせた。
「帝釈天…っ」
身を翻し、身構えながら対峙した神は、数季を隔たった今も、変わらず美しい姿をしていた。
「そう警戒することはない。お前をとって食おうという訳では……まだないからな」
――まだ?
訝しく視線を送る月夜に、帝釈天は妖艶な笑みを浮かべてみせた。
「くくく……やはりお前は面白い。ますます手に入れたくなった」
その言葉に、月夜は一層警戒心を強くする。
まだなにか、自分を利用しようと企んでいるのか?
「なにを考えておいでかは知りませんが、私はもうあの刻の私ではない。なにかするおつもりなら、遠慮なく反撃しますよ? それから…その、面白いとか云うのはやめてもらえませんか」
月夜は不機嫌そうに顔を歪めた。
それは雪にもよく云われる言葉で、ばかにされている気がしていつも不愉快に思っていた。
「おや、面白いと云われるのがそんなに気に入らないか? わたくしたちの間では最高の誉め言葉じゃ」
――面白いことが? どこが誉め言葉だ!
月夜は叫びたくなった。
「しかしそれが駄目なら、なんと云えばお前は喜ぶのじゃ…」
遠くを眺めるように目を細め、帝釈天はみずみずしいくちびるをとがらせた。
そんな様子も麗しく、真剣に考えこむ神の悩ましげな姿に、わずかながら和みかける。
――どこか、以前と感じが違う?
そんな気がした。
「喜ぶ……と訊かれても……」
いったい何がしたいのだろうか。
帝釈天からは、敵意のカケラも感じなければ、特に用があって来たとも思えないのだ。
突然背後に現れた人物に、月夜はギクリと背筋を戦慄かせた。
「帝釈天…っ」
身を翻し、身構えながら対峙した神は、数季を隔たった今も、変わらず美しい姿をしていた。
「そう警戒することはない。お前をとって食おうという訳では……まだないからな」
――まだ?
訝しく視線を送る月夜に、帝釈天は妖艶な笑みを浮かべてみせた。
「くくく……やはりお前は面白い。ますます手に入れたくなった」
その言葉に、月夜は一層警戒心を強くする。
まだなにか、自分を利用しようと企んでいるのか?
「なにを考えておいでかは知りませんが、私はもうあの刻の私ではない。なにかするおつもりなら、遠慮なく反撃しますよ? それから…その、面白いとか云うのはやめてもらえませんか」
月夜は不機嫌そうに顔を歪めた。
それは雪にもよく云われる言葉で、ばかにされている気がしていつも不愉快に思っていた。
「おや、面白いと云われるのがそんなに気に入らないか? わたくしたちの間では最高の誉め言葉じゃ」
――面白いことが? どこが誉め言葉だ!
月夜は叫びたくなった。
「しかしそれが駄目なら、なんと云えばお前は喜ぶのじゃ…」
遠くを眺めるように目を細め、帝釈天はみずみずしいくちびるをとがらせた。
そんな様子も麗しく、真剣に考えこむ神の悩ましげな姿に、わずかながら和みかける。
――どこか、以前と感じが違う?
そんな気がした。
「喜ぶ……と訊かれても……」
いったい何がしたいのだろうか。
帝釈天からは、敵意のカケラも感じなければ、特に用があって来たとも思えないのだ。

