「余は……っ」
月夜はハッとして十六夜を顧みた。
その顔は蒼白に染まり、怯えた瞳は月夜に何かを訴えかける。
「神の末裔とはいえ、只人の魂を己に交わせるのは魂の混乱を招く。ゆえにそれは禁忌とされるはずじゃが」
「違う……余は、こんなことになるとは知らず……兄上が、兄上があのようなことを申すから……」
「十六夜?」
頭を抱え震えだした十六夜を、月夜はなだめようと寄り添う。
しかし月夜さえ、帝釈天の言葉に震えた。
魂を交わすことが禁忌なら、魔物と交わった自分も禁を犯したことになるのか?
そのことで魂が混乱するとは、どういう意味なのだろう。
「許せ……月夜。余は、取り返しのつかないことをした。余は……白童を死なせてしまった!」
「……え?」
刹那、まわりの一切の音が遠退いていった。
その意味をつかみあぐね、月夜はなす術もなく十六夜を見下ろした。
「あの夜、余を訪ねてきた白童が云ったのじゃ」
――白童様が、ボクに鍵を託した夜……?
『恐れながら帝、貴方は禁忌を破られ冥蘖様の魂をその身に取り込まれましたな』
「――余は狼狽えたのじゃ。誰にも知られておらぬと思っておった。その刻はまだ、余でさえ事の重大さには気づいておらんかった」
『神の直系だとて、人から生まれた帝は人でしかない。そうお教えしたのをお忘れか! 禁を犯せば、貴方の魂にも危険が及ぶのですよ?』
「その刻はもう……遅かったのじゃ。兄上の強烈な意識が、度々余を悩ませていた。抑えようとしても……抑えられなくて、白童は余を救おうとしてくれたのに……救おうと……救おうと――」
「十六夜」
何と云えばいいのか、言葉が見つからずにいた月夜を、不意に十六夜が見上げる。
月夜はハッとして十六夜を顧みた。
その顔は蒼白に染まり、怯えた瞳は月夜に何かを訴えかける。
「神の末裔とはいえ、只人の魂を己に交わせるのは魂の混乱を招く。ゆえにそれは禁忌とされるはずじゃが」
「違う……余は、こんなことになるとは知らず……兄上が、兄上があのようなことを申すから……」
「十六夜?」
頭を抱え震えだした十六夜を、月夜はなだめようと寄り添う。
しかし月夜さえ、帝釈天の言葉に震えた。
魂を交わすことが禁忌なら、魔物と交わった自分も禁を犯したことになるのか?
そのことで魂が混乱するとは、どういう意味なのだろう。
「許せ……月夜。余は、取り返しのつかないことをした。余は……白童を死なせてしまった!」
「……え?」
刹那、まわりの一切の音が遠退いていった。
その意味をつかみあぐね、月夜はなす術もなく十六夜を見下ろした。
「あの夜、余を訪ねてきた白童が云ったのじゃ」
――白童様が、ボクに鍵を託した夜……?
『恐れながら帝、貴方は禁忌を破られ冥蘖様の魂をその身に取り込まれましたな』
「――余は狼狽えたのじゃ。誰にも知られておらぬと思っておった。その刻はまだ、余でさえ事の重大さには気づいておらんかった」
『神の直系だとて、人から生まれた帝は人でしかない。そうお教えしたのをお忘れか! 禁を犯せば、貴方の魂にも危険が及ぶのですよ?』
「その刻はもう……遅かったのじゃ。兄上の強烈な意識が、度々余を悩ませていた。抑えようとしても……抑えられなくて、白童は余を救おうとしてくれたのに……救おうと……救おうと――」
「十六夜」
何と云えばいいのか、言葉が見つからずにいた月夜を、不意に十六夜が見上げる。

