「お前は、自分の云っていることをわかっているのか?」
「もちろんです。俺はそのために来たんやから……」
跪いたイシャナに衣の裾を掴まれる。
「は、はなせ! お前があの神とどのようなかかわりがあるのかは知らぬが、そのような戯言に構っている暇などない。帝と白童様の死にかかわっていないというのなら、はやくこの国から出ていくがいいっ」
月夜は慌ててイシャナから離れた。
「待って下さい! 帝釈天様は本気でガルナをどうにかしてしまいよります。所詮人間は神に勝てへん……あとは貴方が神の寝所から――」
「私がガルナから……なんだ?」
月夜は、必死に食い下がるイシャナを見下ろした。
「ガルナの神を解放するには貴方自身の力が必要なはずや……多分、この国を滅ぼしたくらいでは神を目覚めさせられへん。せやからゆうてんのです。俺と一緒に……逃げて下さい」
「まて、私の力とはどういう意味だ?」
「帝釈天様が云うとりましたんや……ガルナに眠る神を目覚めさせるには、朱雀帝の血を受け継いだ、最も神に近い人間の生贄が必要やて……それが、鍵になるんやと……」
朱雀帝の血を受け継いだ神に近い人間――。
それは十六夜のことではないのか?
月夜はそう口にしようとした。
「そこまでだ」
月夜の背後から、大きな影が唸るように二人の間を割って入った。
イシャナが驚愕した顔で、月夜の頭の上を凝視する。
大きな影は松明に照らされ、その漆黒の髪と瞳を二人の前に晒した。
「なんで……こないなところに……」
イシャナは驚きのあまり、魔物にまるで祈るような視線を向けた。
「……雪」
月夜はムッと口を歪めた。
「もちろんです。俺はそのために来たんやから……」
跪いたイシャナに衣の裾を掴まれる。
「は、はなせ! お前があの神とどのようなかかわりがあるのかは知らぬが、そのような戯言に構っている暇などない。帝と白童様の死にかかわっていないというのなら、はやくこの国から出ていくがいいっ」
月夜は慌ててイシャナから離れた。
「待って下さい! 帝釈天様は本気でガルナをどうにかしてしまいよります。所詮人間は神に勝てへん……あとは貴方が神の寝所から――」
「私がガルナから……なんだ?」
月夜は、必死に食い下がるイシャナを見下ろした。
「ガルナの神を解放するには貴方自身の力が必要なはずや……多分、この国を滅ぼしたくらいでは神を目覚めさせられへん。せやからゆうてんのです。俺と一緒に……逃げて下さい」
「まて、私の力とはどういう意味だ?」
「帝釈天様が云うとりましたんや……ガルナに眠る神を目覚めさせるには、朱雀帝の血を受け継いだ、最も神に近い人間の生贄が必要やて……それが、鍵になるんやと……」
朱雀帝の血を受け継いだ神に近い人間――。
それは十六夜のことではないのか?
月夜はそう口にしようとした。
「そこまでだ」
月夜の背後から、大きな影が唸るように二人の間を割って入った。
イシャナが驚愕した顔で、月夜の頭の上を凝視する。
大きな影は松明に照らされ、その漆黒の髪と瞳を二人の前に晒した。
「なんで……こないなところに……」
イシャナは驚きのあまり、魔物にまるで祈るような視線を向けた。
「……雪」
月夜はムッと口を歪めた。

