「神とは……こんなにも無慈悲なものか……」
ならばガルナの神とて、同じやもしれない。
堕ちた神が地上に留まる理由がなくなれば、我々人間のためだけにその身を犠牲にして、この国を守ってやる必要などないのだ。
月夜はくちびるの裏を噛んだ。
こんな鍵がいったいなんの役に立つというのか?
懐を手で押さえ、きつく指を握りしめた。
月夜は顔をあげ、ふたたび十六夜のいる宮殿をめざした。
なんとか考えを改めてくれればいいが、他にガルナを守ることのできる、よい方法があれば――。
結局方法など何一つみつからないまま、月夜は謁見の間にたどり着いていた。
月夜の倍以上ある、重くて厚い扉がわずかに開いていた。
近寄ると、すきま風に人の声が混じる。
「……鍵……神を……帝の式……」
会話の内容はよく聴こえないが、話しているのはどうやら天照のようだ。
彼も無事であったことはよかったが、微かに耳に入った帝の式、という言葉が気になった。
月夜は思いきって扉に手をかけた。
「月夜殿! ご無事で……どうした? 顔色が良くない……」
玉座で、疲れたように放心している十六夜から目を離さずに、月夜は二人に近づいていった。
天照の問いかけには当たり障りなく応えたが、実際いまの月夜にいつもの覇気はなかった。
いまなら鍵は自分が持っている。
十六夜が強く望めば、きっと逆らうことなどできない。
そして神を目覚めさせれば、四神の国はまた、神を巡って戦国の渦中に?
――白童様、なぜ私にこんなものを託したのです? 私には選べない……選べない。
「……月夜?」
十六夜が、まるでたった今気づいた様子で声をあげた。
「戻ってきてくれたのか月夜。余が……余が愚かじゃった! すまぬ、許してくれ月夜……」
ならばガルナの神とて、同じやもしれない。
堕ちた神が地上に留まる理由がなくなれば、我々人間のためだけにその身を犠牲にして、この国を守ってやる必要などないのだ。
月夜はくちびるの裏を噛んだ。
こんな鍵がいったいなんの役に立つというのか?
懐を手で押さえ、きつく指を握りしめた。
月夜は顔をあげ、ふたたび十六夜のいる宮殿をめざした。
なんとか考えを改めてくれればいいが、他にガルナを守ることのできる、よい方法があれば――。
結局方法など何一つみつからないまま、月夜は謁見の間にたどり着いていた。
月夜の倍以上ある、重くて厚い扉がわずかに開いていた。
近寄ると、すきま風に人の声が混じる。
「……鍵……神を……帝の式……」
会話の内容はよく聴こえないが、話しているのはどうやら天照のようだ。
彼も無事であったことはよかったが、微かに耳に入った帝の式、という言葉が気になった。
月夜は思いきって扉に手をかけた。
「月夜殿! ご無事で……どうした? 顔色が良くない……」
玉座で、疲れたように放心している十六夜から目を離さずに、月夜は二人に近づいていった。
天照の問いかけには当たり障りなく応えたが、実際いまの月夜にいつもの覇気はなかった。
いまなら鍵は自分が持っている。
十六夜が強く望めば、きっと逆らうことなどできない。
そして神を目覚めさせれば、四神の国はまた、神を巡って戦国の渦中に?
――白童様、なぜ私にこんなものを託したのです? 私には選べない……選べない。
「……月夜?」
十六夜が、まるでたった今気づいた様子で声をあげた。
「戻ってきてくれたのか月夜。余が……余が愚かじゃった! すまぬ、許してくれ月夜……」

