顔がなぜか熱くなり、頭を振って誤魔化した。
そういえば、阿修羅はどうしたのだろう?
雪がここにいると云うことは、阿修羅はもとに戻っているはずだが、姿どころか気配もない。
――いや待て。この男、微かだけど阿修羅の匂いがする。
月夜は鼻を近づけて、雪のにおいを嗅いだ。
確かに阿修羅の、夜露のような匂いがした。
けれどもうひとつ、それとは別の、どこか懐かしい…優しい香りが漂う。
――なんだろう。この、覚えのある感覚は?
月夜はつい、引き寄せられるように雪の胸に耳をあてる。
そこには心臓が脈打っているはずだが、なぜか聴こえるのは鼓動ではなく、風が揺らす木々のざわめきか、はたまた潮騒にも似た、静かな律動だった。
確かに生きている。
そう、月夜は胸を撫で下ろした。
しばしそうしていて、ふと外のことを思い出す。
「十六夜…」
置いてきてしまった彼を心配して、月夜は立ち上がりかけた。
「え……?」
自分の腕を掴まれ、急いで立ち上がろうとした月夜はその反動で床に転がった。
驚いて見上げると、雪の顔が近距離にあり、さらに驚いた。
「な、なんだお前…は…」
いきなり顔を舐められ、月夜は瞠目した。
「なにをする! 人の顔を……っ」
憤慨する月夜を無視して、まるでじゃれるようにぺろぺろと舐められる。
おまけに撫で声で「なう〜」と啼いた。
月夜は絶句した。
――こ、これはまさか?
顔中を舐め尽くす勢いの雪を両手で阻みながら、月夜はとある想像をめぐらせる。
いつもは阿修羅の身体に乗り移る雪だが、なんらかの理由で今度は阿修羅が雪の身体に乗り移ったのではないか?
そういえば、阿修羅はどうしたのだろう?
雪がここにいると云うことは、阿修羅はもとに戻っているはずだが、姿どころか気配もない。
――いや待て。この男、微かだけど阿修羅の匂いがする。
月夜は鼻を近づけて、雪のにおいを嗅いだ。
確かに阿修羅の、夜露のような匂いがした。
けれどもうひとつ、それとは別の、どこか懐かしい…優しい香りが漂う。
――なんだろう。この、覚えのある感覚は?
月夜はつい、引き寄せられるように雪の胸に耳をあてる。
そこには心臓が脈打っているはずだが、なぜか聴こえるのは鼓動ではなく、風が揺らす木々のざわめきか、はたまた潮騒にも似た、静かな律動だった。
確かに生きている。
そう、月夜は胸を撫で下ろした。
しばしそうしていて、ふと外のことを思い出す。
「十六夜…」
置いてきてしまった彼を心配して、月夜は立ち上がりかけた。
「え……?」
自分の腕を掴まれ、急いで立ち上がろうとした月夜はその反動で床に転がった。
驚いて見上げると、雪の顔が近距離にあり、さらに驚いた。
「な、なんだお前…は…」
いきなり顔を舐められ、月夜は瞠目した。
「なにをする! 人の顔を……っ」
憤慨する月夜を無視して、まるでじゃれるようにぺろぺろと舐められる。
おまけに撫で声で「なう〜」と啼いた。
月夜は絶句した。
――こ、これはまさか?
顔中を舐め尽くす勢いの雪を両手で阻みながら、月夜はとある想像をめぐらせる。
いつもは阿修羅の身体に乗り移る雪だが、なんらかの理由で今度は阿修羅が雪の身体に乗り移ったのではないか?

