土埃が舞い、辺りがまるで見えなくなる中で、月夜はしっかりと雪にしがみついていた。
大きな身体はやはり傷ついてはいなかったが、あまりに強い衝撃で、月夜の不安は煽られた。
「止めて……もう、止めて下さい! 鍵はなくしてしまったんだ……ここにはないのです!」
だが、帝釈天は訊く耳を持たなかった。
いくつもの竜巻が起こり、二人は風に弾き飛ばされる。
宮の建物に突っ込んだ月夜は、またも雪に守られていた。
「せ……雪……」
「羅刹天、貴君をここまで叩きのめすことができるのは、実に気分がよいものじゃが、戯れもいい加減にせよ。……その鍵をわたくしによこせ」
月夜はハッとして雪を見た。
まさか、鍵はこの男が持っていたというのか?
それはおそらく、月夜が魔物と交わり、魔物のモノとなったときのことだ。
「貴女は……ガルナの神をどうなさるおつもりか! 神の加護を失えば、他国の侵攻を妨げることができなくなり、国は滅びてしまう!」
「そのようなことは、わたくしの預かり知らぬこと。あの子を汚した人間など、さっさと滅ぼしてしまえばよいものを……のう、羅刹天?」
神の意を含んだ笑みに、月夜は雪を顧みた。
彼にはまだ、月夜の知らない事情があるのかもしれないと思った。
でなければ、ただ頼まれたというだけで自分を守るなど、魔物にすれば酔狂に過ぎよう。
「あの子の分身が失われて久しく、新たな鍵が生まれたのもこれが運命(さだめ)……よもや天命に叛き、人間を守ろうなどと愚かなこと、考えておる訳ではないな?」
雪は身の上に振りかかった破屋の欠片を払うと、深く息をついた。
「まだ同じことを云わせる気なら、たとえお前が何者だろうが天命とやらとまとめて、俺の下足にしてやる」
大きな身体はやはり傷ついてはいなかったが、あまりに強い衝撃で、月夜の不安は煽られた。
「止めて……もう、止めて下さい! 鍵はなくしてしまったんだ……ここにはないのです!」
だが、帝釈天は訊く耳を持たなかった。
いくつもの竜巻が起こり、二人は風に弾き飛ばされる。
宮の建物に突っ込んだ月夜は、またも雪に守られていた。
「せ……雪……」
「羅刹天、貴君をここまで叩きのめすことができるのは、実に気分がよいものじゃが、戯れもいい加減にせよ。……その鍵をわたくしによこせ」
月夜はハッとして雪を見た。
まさか、鍵はこの男が持っていたというのか?
それはおそらく、月夜が魔物と交わり、魔物のモノとなったときのことだ。
「貴女は……ガルナの神をどうなさるおつもりか! 神の加護を失えば、他国の侵攻を妨げることができなくなり、国は滅びてしまう!」
「そのようなことは、わたくしの預かり知らぬこと。あの子を汚した人間など、さっさと滅ぼしてしまえばよいものを……のう、羅刹天?」
神の意を含んだ笑みに、月夜は雪を顧みた。
彼にはまだ、月夜の知らない事情があるのかもしれないと思った。
でなければ、ただ頼まれたというだけで自分を守るなど、魔物にすれば酔狂に過ぎよう。
「あの子の分身が失われて久しく、新たな鍵が生まれたのもこれが運命(さだめ)……よもや天命に叛き、人間を守ろうなどと愚かなこと、考えておる訳ではないな?」
雪は身の上に振りかかった破屋の欠片を払うと、深く息をついた。
「まだ同じことを云わせる気なら、たとえお前が何者だろうが天命とやらとまとめて、俺の下足にしてやる」

