――そこで 「いらっしゃいま……せ」 「……え」 姉に会うなんて、思ってもいなかった。 「ち、……」 「……おひとりさま、ですか?」 あの頃のように、優しく聞いてくれた姉に。 「あ、はい」 「一名様ご案内します」 なんだかくすぐったいような気持ちになった。 同時に、少しだけ怖くて、緊張していた。 『……え、誰?』 あの時の言葉、あの時の記憶が、まだ鮮明に思い出せる。 五年経ったと言われても、体感時間はまだ一日や二日で。