辺りを覆う闇、近付く足音。
とあるビルの影にある木の下で、その人を待っていた。
──ようやく、待っていた相手が来たようだ。
「よぅ、いづる。居るんだろ?」
気配を消していた俺に近付く、サングラスをしているガタイのいい男。
服は俺も奴も、闇に溶ける黒一色だ。
「遅い、一時間遅刻だ」
俺は不満を呟く。
全くこの男はすぐ遅刻してくる、時間にルーズな元不良が。
「わりぃわりぃ、綺麗なねーちゃんに引き止められててさ」
そんな理由で任務に遅れてくるなこのバカが。
俺は小さくため息をついて、そいつを睨み付けた。