明晰夢を見たのは初めてだ。 案外しっかり見られるものなんだな。 だんだんはっきりしてくる意識の中、俺はつい今まで見ていた夢のことを考えていた。 妻が死んでから、数え切れないほど見てきた彼女の夢。 今度のは、今までのそれとは別格と言えるほど鮮明だった。 「…ねえ、そろそろ起きて」 ほら、まだ聞こえる。 愛する妻の声が。 「ねえってば!」 「……?」 これは、夢…だよな。