感触はない。 ぬくもりもない、匂いもない。 何もない。 静かに、ゆっくりと目を開けると、目の前には誰もいなかった。 視線を落とすと、フローリングの床に、1枚の真っ白な羽が落ちていた。 それを拾い上げたとき、ふと、妻が言っていた【あなたの最後の言葉】がよみがえった。 そして、我慢していた涙がひと筋、頬を伝って落ちた。