陽が高くなるにつれ、冷房をつけていない和室では熱気がきつくなる。 ほんの少しそこにいるだけで、背中に汗が伝った。 「…どうしたら、パパの言うこと信じてくれる?」 窓の外から聞こえるセミの声がうるさい。 額を流れる汗は、暑さのせいか焦りのせいか。 俺の問いかけに、明日香は少し考えて口を開いた。 「ママのカレーコロッケ、食べたい」